かのやまさんのblog

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【読書メモ】言ってはいけない 残酷すぎる真実

 連休前の書店に平積みになっていたこちらの本、ずいぶんな煽りようで帯には『この本の内容を気安く口外しないでください』とまで書いてある。新潮社から気安く出版できているんだからそこまでえげつない内容ではないだろうけど、気になって購入することに。

 

 タイトル買いしておいて何だけど、個人で書き散らしているブログだろうと多人数で作り上げている新聞・雑誌だろうと、“真実”をこれ見よがしに標榜されるとどうも胡散臭く感じてしまう。“真実”の前に「〇〇が伝えない」とか「不都合な」とか「隠された」とか枕詞があると(だいたい付いてくるけど)読むときにはたいてい疑ってかかることになるわけだけど、本書はどんな感じかな?

 

 ・・・一言でいうと「身もふたもない話」で、例えば見た目の良しあしで生涯収入に格差ができることや知能や精神疾患だけでなく犯罪を犯す可能性まで遺伝による影響が大きいことといった、誰もが「そうじゃないか」とうっすら考えていることを、データをもとに証明している。行動遺伝学というれっきとした学問で、巻末には参考文献も並んでおり裏付けもされているようだ。

 

 だからといってただ単に突き放しているだけでもなく、あとがきではこんな風に書いている。

 

人類は幾多の悲惨な経験を通して、それを平和と繁栄に何とか役立ててきたのだ。だとしたら、未来をそんなに悲観することはない。 

  

 「残酷な真実」があったとしても、人間の理性によっていくらかはカバーはできる。どうにもならないものはしょうがないと投げてしまうわけにはいかないんだろう。

 

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

 

 

 

 最後に、身もふたもない話をひとつ。

 全編通してキャッチーな書き方がされているから内容そのものは頭に入りやすいけど、さわりの部分が記載されているだけの印象がぬぐえなかった。紹介されている参考文献も読んでおかないと、気安く話すことはできないような気がする。